英文読解講座
高橋善昭著
【名著復刊】 甦る! 駿台の名物講師の名講義
本書は「中級以上の英文が読めるようになりたい」と願っている人のための独習用読解力養成講座です。
本書が「形にこだわる」読み方にこだわっているのは、「意味」ないしは「情報」が「形」によってのみ表現され、捕捉されると考えるからです。英文の意味を知るためにいちいち英文の構造を意識する段階は、必ず通らなければならないものであると同時に、必ず越えなければならない過程でもあります。(「あとがき」より)
http://webshop.kenkyusha.co.jp/book/978-4-327-76473-9.html
JR代々木駅前にある、某ゼミナール予備校で、楽しいアホアホ浪人生活を送っていた私にも、白雲なびく駿河台にある某名門予備校で英語講師を務められていた、高橋善昭氏(あの学校では「高橋師」などと呼びならわしていたはず)の評判は、よく耳にしておりました。
英文の分析能力が素晴らしい、英語の発音もたいへん上手である。
あの看板講師の伊藤和夫より、実際の実力では上だ、などなど…
そんな評判を聞きつけると、「予備校講師グルメ」(人気講師の授業をハシゴすることが生きがい。しかし勉強はしないので、成績自体は伸びない)と化していた当時の私は、どうしても師の講座を一度とってみたくなり、夏期講習を申し込んでみたのです。
講座名は「早慶英語」ゼミだったかな?忘れましたけど、確かそんなタイトルだったはずです。
で、高橋師の授業を受けに行ってまず驚いたこと。
一人あたりの机のスペースがもの凄く小さい!とにかく狭苦しい。
隣に座っている学生と、身体を引っ付け合うようにして座らないといけません。
これは、代々木ではちょっとありえないことでした。
両隣に座っていたのは、もちろん知らない人です。
だけど、私の左に座ったのは…夏期講習でも席順はきちんと決められておりました…女の子でした。
率直に言うと、その娘の外見容姿は十人並み。受験生ということで、ファッションや髪形にも気を配っていないことが見え見えの、まぁはっきり言うとあか抜けない子でした。
しかし、当時の私もまた受験生です。女っ気が全くありませんでした。
だから女の子と隣り合わせ、しかも身体をぴったりと密着して座っている。
このシチュエーションだけで、勉強への集中はほぼそがれてしまっていました。
せっかく高い金を払って、看板講師の講習を受ける訳ですから、こんなつまらないことで貴重なお金と時間を無駄にするわけにはいかない。
「これじゃあ気が散って勉強になりますせん。すぐに席順を変えてください!わたしの両隣を男にしてください」
教務課へ訴え出ました…
というのは、もちろん嘘。
毎日、その女子学生とひと時を共にする…大教室だから数百人の学生がいる訳ですけど…ことへの期待が、夏期講習における最大の期待に変わってしまいました。
今考えてみても、とっても情けない。しかし、10代後半の、いわゆる「溜まっている」状態の男の心理はそんなものです。
あれから四半世紀が過ぎたいま、高橋師の講義内容は全く思い出せません。いや、テキストを読み上げる時の発音が確かにすごく良かったことだけはうっすら覚えているんですけどね…
それよりも、その子が窮屈そうに脚の位置を変えようとする時、彼女の右足の筋肉の動きがこちらの左足に伝わってくる…
その都度、私は授業に集中しているフリをしながら、その実全神経が足に行っているという、とってもとっても情けない状況に陥っていた事だけが妙に記憶に残っています。
今にしてみても、とってもウブで可愛かったですね。いや、単にキモいだけか。
まぁ、それはさておき…
当時から、師の書かれたこの「英文読解講座」は優れた参考書として評判だったと思います。
いや待てよ、私が受験生だったころにはまだ単行本になってなかったのかな?
研究社が出していた、英語教育に関する雑誌に連載されていた時期だったかもしれませんが、鮮やかな手腕で英文の構造を解きほぐして行く師の力量には感心したのを覚えています。
だから大学生の頃もこの本を買って読み返していました。
そのあと手離してしまったんですけど、名著と評判の高い学習参考書が近年では相次いで復刊されており、本書もそのブームに乗って?また廉価で入手できるようになったのは嬉しい限りです。
ただ、今読んでみるとさすがに正攻法過ぎるというか、こんなガチガチの勉強法ではさすがに面白くないよなぁ、1人の英語名人を生み出す前に、100人の英語嫌いを生み出してしまうんじゃないかな…と思えなくもないですね。
まぁ、「受験英語の落第生」の僻みと取ってもらえれば幸いです。
2012年1月31日火曜日
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良い思い出話、ありがとうございました。私もその昔、伊藤先生も高橋先生も奥井先生にも習ってました。本当に大好きな先生ばかりでした。隣の女学生の話、とても面白いですね。当時の自分だったら、まったく同じ気持ち(いやもっと興奮?)だったでしょう(笑)
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