2012年1月5日木曜日

外山滋比古著作集 3 異本と古典

外山滋比古著作集 3異本と古典


「古典」とはいったいどういうテクストをいうのか? また、古典はいかにして生まれるのか? 教科書に載っているのはだいたいがいわゆる「古典」であり、「古典文学全集」などというものもある。しかし正面切って、「古典とはなにか? それはどうしてできるのか?」と問われたら、だれしも答えに窮するのではないか。これは従来の文献学的な研究法ではラチのあかない難問である。


「作者は作品を書く。しかし、古典を書くことはできない。作者の手もとをはなれたときすでに古典になっているという作品はかつて存在しなかった……それでは、古典はいったいだれがつくるのか。作品を読み、鑑賞する第三者である」。


すべての読者はテクストを読むことによって異本をつくり、それが時間の経過のなかでやがて収斂し、古典を形成する。このプローセスは翻訳・校正・シェイクスピア・連句などの分析によってスリリングに例証される。


『修辞的残像』によって〈読み〉の構造を明らかにし、ついで『近代読者論』において〈読者〉の地位を定立した著者は、この『異本と古典』のなかで〈古典成立〉のメカニズムを解明する。眞にオリジナルな〈外山学〉がここに完結することになる。

http://www.msz.co.jp/book/detail/04853.html

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