このブログではたびたびラグビーリーグのお話を取り上げておりますが、今後も折りに触れてリーグに関する情報をお伝えしていきたいと思います。
私がなぜこの13人制ラグビー(FWはフランカー2人がいなくて6人)にこだわるか、といいますと、要はラグビーユニオン同様リーグも大ファンだからです。
日本ではどちらかといえば日陰者というか、その存在すらあまり知られていないリーグですが、豪州や英国、そしてNZではなかなかの人気を誇っています。特にオーストラリアでは、シドニーのあるNSW(ニューサウスウェールズ)や、ブリスベンを中心としたクィンズランド州において圧倒的な人気を誇っています。
もともと、19世紀の後半にイングランドで成立したラグビーユニオンですが、ロンドンを中心とした南部のクラブは、パブリックスクール中心の裕福な階級が支配していたため、イングランド北部の労働者階級を中心とするクラブと対立が始まります。お金もちのロンドン周辺のラガーたちは、プレーすることで収入を得なくても支障ありませんでしたが、労働者の選手達はプレーをするため仕事を休んだことによる休業補償を得たいと思っていました。
似たような問題はサッカーでも起こりましたが、サッカーを統括するFAはプレーに対するお金の支払いを認め、この結果サッカーのプロ化が起こります。そしてフットボール・リーグが成立し、現在に続くプロサッカーの基盤がこの時出来上がりました。
ところが、ラグビーユニオンは最終的に北部のクラブからの要求を認めず、この結果1895年に北部の有力クラブが協会を脱退し、独自の協会を設立します。この時から北部協会は、より観客に分かりやすいラグビーを目指し、プロ化を進め、その結果同じラグビーでありながらルール面での乖離が始まりました。プレイヤーの人数を1チーム13名に減らし、観客には分かりにくいモールやラックをなくし、ラインアウトも撤廃、そして攻撃と守備を明確に分けて、6回のタックル成立で攻撃権が入れ替わるというややアメリカン・フットボールに似た独自のルール体系を作り上げました。これがラグビーリーグの始まりです。
サッカーでもマンチェスターやリバプールなどのチームが強かったのと同様、リーグでもランカシャーやヨークシャー州のクラブに強豪が集中しました。そしてリーグは、イングランドにおいては北部を中心に発展していくことになります。ただし、リーグ版FAカップとも呼ぶべきチャレンジカップだけはサッカーの殿堂、ロンドンのウェンブリー・スタジアムで決勝を行い、毎年10万人近い観衆を動員しておりました。一方のユニオンは、ロンドンのトゥイッケナム・スタジアムを代表の本拠地として人気を集めておりましたが、1980年代に入っても依然アマチュアのステータスを保持しておりました。
一方、豪州では前述の通りシドニーやブリスベンなど東部の地域でリーグが発展していきます。もうひとつの大都市である、メルボルンを中心にしたヴィクトリア州では、日本でも有名なオージー・フットボールが発展していました。つまり一つの国で、地方によって明確に人気スポーツが分かれるといった面白い現象が見られたわけです。
したがってラグビー・ユニオンは、豪州においてはどちらかといえばあまり人気の無い競技でした。リーグの人気に押されていたのです。そしてユニオンでは収入を得ることが出来なかったので、有力選手がリーグ側に引き抜かれて転向する、という事態が相次いでいました。
これはイギリスでも同じことで、イングランドやウェールズでも良い選手がリーグに続々と転向していた時期がありました。特に、1987年にラグビーユニオンがワールドカップを開催すると、この流れが加速します。ウェールズ代表の天才スタンドオフであるジョナサン・デービスや、またオールブラックスのFBジョン・ギャラハーらがリーグの門をたたきました。当時、日本ではリーグの報道が皆無に近く(時々『ラグビーマガジン』誌がリーグ特集を組んでいました)何かリーグに行くことが悪いこと、後ろめたいようなニュアンスで捕らえられていたのも確かです。だが90年代半ばに入ると、そんな状況が一変することになります。
この続きはまた明日。
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http://d.hatena.ne.jp/daispo/20050308
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