2006年9月20日水曜日

Hen Wlad Fy Nhadau

サッカーの国際試合やボクシングの世界タイトルマッチ、またはF1の表彰式など、国歌演奏・斉唱は、スポーツのビッグイベントに欠かせないセレモニーとなっている。

アメリカ合衆国の国歌『星条旗』やフランス国歌『ラ・マルセイエーズ』などは、日本人にもなじみの深い外国の国歌であろう。では、イギリスの国歌は何か?これは『ゴッド・セーブ・ザ・クィーン』(女王陛下万歳)である。ワールドカップでもベッカムやオーウェン、ルーニーなどの「イングランド」代表がワールドカップなどの国際試合に登場すると、この『ゴッド・セーブ・ザ・クィーン』が試合前に演奏され、スタンドを埋め尽くしたイングランドのサポーター達が、力一杯歌っているシーンをご覧になった方も多いであろう。有名なロックバンドだったクィーンも、ライブの終わりでこの曲を演奏していた。
現在はエリザベス女王の御世だから「クィーン」だが、次に獋子が国王の地位に就けば、歌詞は当然「キング」に変わる。

かつては世界に繁栄を誇ったイギリスらしく、この英国国歌はイギリス以外でも国歌として採用され、ニュージーランドではいまだに国歌の一つとして採用されているらしい。ただ、ニュージーランドにはもうひとつ『God Defend New Zealand』があり、ラグビーなどのスポーツ試合では、専らこちらが演奏される。実際、ニュージーランドのスポーツ試合で『女王陛下万歳』が演奏されたシーンを、私は見たことが無い。
またオーストラリアでも、かつてはこの曲が国歌だったはずだが、現在では『アドヴァンス・オーストラリア・フェア』という歌が採用されている。
しかし、この豪州国歌はスポーツイベントで歌われても、どうもいま一つパッとしない歌に聴こえる。有名な『ワルツィング・マティルダ』の方が、個人的には好きだ。

さて、話を英国に戻すが『ゴッド・セーブ・ザ・クィーン』は何度も書いたとおり、イギリスの国歌だ。法律で制定されているわけではないらしいが、そういうことで広く認識されている。だが、ここで言う「イギリス」とはユナイテッド・キングダム(UK)正式国名グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国、のことをさす。
一方、ベッカムやルーニーは、英国を形成する中の「イングランド」の代表であって、UK全体の代表というわけではない。サッカーの世界では今のところ、国際試合の為に全英代表は組織されない。
サッカーに限らず、スポーツの世界では五輪などを除いて、英国は「イングランド」「スコットランド」「ウェールズ」そして「北アイルランド」に分かれて”ナショナルチーム”を編成することが多いのだ。

それでも「イングランド」代表は、「イギリス」国歌である『ゴッド・セーブ・ザ・クィーン』を自らの国歌として通常用いる。エルガーの有名な『威風堂々』も、一応非公式には国歌みたいな位置づけらしいのだが、まぁサッカーなどでは今後も『ゴッド...』が使われるであろう。
ではスコットランドではどうか、というとこれは『スコットランドの花』という曲が、スポーツイベントではよく用いられる。でもこれは公式な”国歌”ではなく、他にもいろいろと候補があるようだ。スコットランド「国内」でも、いろいろ議論があるらしい。

http://news.bbc.co.uk/1/hi/scotland/4837078.stm

そしてラグビー王国・ウェールズでは...ほんとはこれが本題なのだが、前フリが長すぎた...「ランド・オブ・マイファーザー」という歌が国歌として伝統的にうたわれる。ウェールズ語で表記するとHen Wlad Fy Nhadauとなる。
この歌のメロディは大変美しく、そしてラグビーの国際試合で、本拠地ミレニアム・スタジアムを埋め尽くした大観衆が唱和すると本当に物凄い迫力がある。私は世界のいろんな国歌の中でも、ウェールズ人たちの国歌斉唱が一番素晴らしいと思う。


かつて、ラグビーのウェールズ代表は「アームズパーク」というスタジアムで試合を行っていたが、試合前に詰め掛けた大観衆にこの歌を歌われると、その迫力で相手チームは重圧を感じて萎縮してしまい「1トライ1ゴールのアドバンテージをウェールズ代表に与える」と言われたそうだ。
それはともかく、やはり彼らの地声の大きさというか、歌声の素晴らしさにだけは絶対に敵わない。日本人も、最近ではサッカーや野球の試合で国歌を合唱したり、応援歌を歌ったりするけれど、腹からの声の出し方がまるで違うことが、この映像を見ても良く分かるであろう。
2006年09月20日08:50

mixi

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