2006年7月5日水曜日

米国サッカーの未来

今日(7月4日)はアメリカの独立記念日です。
1976年は建国200周年ですから、今年で合衆国が出来て、ちょうど230年という事になります。

今から12年前の1994年、アメリカはワールドカップを開催。そして7月4日に決勝トーナメント1回戦をブラジルと戦い、前半を0-0で折り返すなど健闘しながらも、76分に決勝ゴールを奪われ、そのまま0-1で敗れました。しかし、それまで「サッカー不毛の地」と言われていたアメリカが1次リーグを突破し、ブラジルともほぼ互角の勝負を演じて見せたことは、この国のサッカーにとっては非常に大きな出来事でした。

その後、メジャーリーグサッカー(MLS)が開幕し、女子サッカーもワールドカップや五輪で金メダルを獲得するなど黄金時代が到来。また2002年の日韓W杯では開催国・日本を上回るベスト8にまで進出し、準々決勝ではドイツとも白熱の名勝負を演じるなど、米国サッカーの発展はもはや疑いようのないものとなっています。

しかしそれでも、米国=サッカー不毛の地、というレッテルはなかなか剥がれることがありません。これはなぜでしょう。
一つはMLSが、それほど人気の高いプロリーグではないこと。そしてもう一つは、米国代表チームが日本や韓国代表のように、国民的人気を誇るナショナルチームではないことが挙げられるでしょう。今回のドイツW杯では、米国はチェコとガーナに敗れ、そしてイタリアとは死闘の末ドロー。1勝も出来ずに1次リーグで敗退しましたが、日本やイングランド、またブラジルのように、国内で厳しい批判に晒されるわけでもありません。彼らは良くも悪くも、アイドル的存在ではないのです。むしろ、ミア・ハムのようなスーパースターを擁していた女子代表の方が人気は高かった、と言えるでしょう。

しかしアメリカにはサッカーに限らず、そもそも「国際試合で盛り上がる」という習慣が根付いていません。というか、代表チームというものの存在があまり見えてこないのです。サッカーのブラジル代表や、ニュージーランドのラグビー代表「オールブラックス」のような、その国のスポーツ文化を代表するようなナショナルチームは、アメリカにはどの競技にもありません。国際試合よりも国内のリーグ戦、もっと言えば地元の州内対決の方がはるかに盛り上がります。
海外への人気で言えば、メジャーリーグやNBA、NFLのような本質的には国内のリーグ戦が、海外への知名度、アピール度はずっと高いです。

そして米国代表には、アーチライバルがいません。
ブラジルにはアルゼンチンがおり、イングランドにはドイツがいる。オールブラックスには豪州代表「ワラビーズ」がいます。だがアメリカのスポーツチームには、これと言った宿敵が見当たらないのです。サッカーでは米国の直接のライバルはメキシコですが、しかしこれが米国スポーツにとってビッグイベントになることは考えにくいでしょう。

五輪も昔ほど盛り上がらなくなったのは、米国の宿敵だったソ連が消滅してしたことが原因の一つではないでしょうか。アイスホッケーの強豪であるカナダ代表は、やはりソ連と宿命のライバルであり、今もロシアといい関係を保っているといえますが、これは米国にはそのまま当てはまりませんでしたね。

...というのが従来の考え方でしたが、今回のドイツW杯では、少しずつ変化が見えてきたように思います。米国代表だけではなく、ワールドカップ全体に対する関心が米国内でも徐々に高まっているように感じました。スポーツ専門誌「スポーツ・イラストレーテッド」でも、米国代表のメンバーが表紙を飾りました。またNYのタイムズスクエアでも、アメリカの試合で熱心な応援を送るファンの姿が見えました。この世界一のスポーツ大国が、サッカーの桧舞台の中心に躍り出る日は、実はそう遠くないと思うのですが、さてどうなるでしょうか。

 
2006年07月05日04:00

mixi
 

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