ワッハ上方を出た後、道頓堀へと移動した。
予約しておいた「はり重グリル」でお昼を食べる。
洋食の老舗だ。
私が頼んだのは、ステーキとエビフライのメインに、スープとパン又はライス、食後のコーヒーがついた「スペシャルランチ」。
値段は2970円。ニューオータニの朝食ほどでは無いが、こちらもお昼にしてはけっこうな高額である。
私なら、昼食に2000円以上を費やすという事は通常、殆ど無い。
しかし、昨日いただいた大阪いらっしゃいキャンペーンの電子クーポンが3000円分ある。
「はり重グリル」ではこの電子クーポンによる支払いがオッケーということだったので、なんと実質無料で食べる事が出来た。
肉も柔らかく、エビフライもカリっと揚がっているので美味かった。
もうこの2度の食事だけで、今回の大阪旅行は大満足と言っても良いだろう。
腹も膨れたので、午後も観光に費やすことにした。
道頓堀も、昔に比べるとすっかり様変わりしたが、活気のあることには変わりがない。
自分の生まれ故郷を旅する、と言うのもおかしな話に聞こえるが、私の場合は18歳までしか大阪に住んでいなかったので、いわゆる大人が訪れるような観光スポットは殆ど行った事が無い。
また地下鉄に乗り、東大阪市にある大阪府立中央図書館へ出かけた。
図書館のどこが観光やねん?と突っ込まれそうだが、本をこよなく愛する私にとっては、書店や図書館は旅先で必ずと言ってぐらい訪問する主要スポットの一つである。
東大阪市の市役所がある荒本駅からほど近いところに、府立図書館は存在する。
いつ見ても、東大阪市の市役所は非常に立派な建物だ。
こんなに立派な建物が必要でしょうか…と言うコマーシャルが昔あったが、東大阪市民の為に存在するお役所なんだから、とうぜん必要なんだろう。
府立中央図書館に前回来たのは、もう20数年前になる。
土曜日の午後、ということで、かなりの数の利用者でごった返しているのかな、と思いきや、人の数はまばら。
ここと同じような存在である、広尾の都立図書館なら週末はたいへん多くの利用者が詰めかけるので、正直言って拍子抜けした。
これなら、ゆっくりと資料を閲覧することが出来る。
とはいえ、時間も限られているので、見たい資料を全て閲覧することは出来ない。
今回は、ラグビーを主としたスポーツものの洋書をチェックすることにした。
都立図書館にも英語を中心とした洋書は豊富に揃っているが、府立図書館にも見たことが無い本はいくつかあった。
特に、2022年11月に英国で開催されている、ラグビーリーグW杯の歴史に関する本"Their Finest Hour: A History of the Rugby League World Cup in 10 Matches" は、その存在すら知らなかった。
都立図書館の蔵書を全て把握している訳では無いから確かな事は言えないけれど、ラグビーリーグに関する本は見たことが無い。
日本ではリーグは盛んではないので、洋書店でも目にすることは稀なのだ。
この本を書架で見つけた瞬間、わざわざ来てよかったな…という気になった。
他にも”Budge Rogers: A Rugby Life”や、Final Scrum: Rugby Internationals Killed in the Second World War”といった面白い本があり、この数冊の本をざっと読むだけでも一時間近くが経過してしまった。
他にも、アメフトや野球に関する本を2-3冊程度確認し、じっくりと読み返したい必要な個所を数ページずつコピーして持ち帰ることにした。
図書館が所蔵する資料には、利用に関する細かなルールが存在する。
たとえば、一冊まるごとコピーするということは著作権法の観点からも不可となっている。
私も都立、あるいは東京23区内の区立図書館などで利用した本などを複写する時には、本当に必要な部分だけを厳選して取る様にしている。
この府立図書館でもコピーを取る時には、所定の紙に書名とページ数を記入し、職員さんに内容を確認してもらってからコピー機を利用する手順となっている。
また利用する書籍には、コピーする最初と最後のページにスリップを挟み込んでおくようにするのだ。
この手順自体は広尾と同じなのだが、驚いたのは職員さんが、私の書いた複写申請用紙の内容をきちんと確認していたことである。
「こちらの用紙には52ページから59ページまで、と書いてありますが、スリップは49ページからになっていますね?」
と言った具合に、用紙の記入したページ数とスリップの範囲が合致しているかをしっかりと照合していたのである。
広尾の職員さんも、その辺は抜かりなくやっているとは思うけど、これまでこの手の指摘を受けたことは一度も無かったと思う。
大阪だから適当にやっている、という事は無いのだ、って職員さんに聞かれたら叱られそうな感想だけど、妙に感心してしまった。
コピーを終えたところで、まだ30分ほど時間がありそうなので、日本語のラグビーに関する書籍も蔵書検索でチェックしてみることにした。
やはり膨大な蔵書数を誇る府立図書館だけあって、戦前からの本なども豊富に揃っている。
香山蕃が1924年に書き、改造社から出した「ラグビー」や、兼子義一著「ラグビーフットボール」(1927年)、中村比呂美著「壮烈ラグビー競技法と其見方」(1930年)奥村竹之助著「ラグビーの理論と戦略」(1932年)などなど、タイトルだけでも一度は閲覧してみたい書籍がずらりと揃っている。
題名にラグビーの文字は入っていないけれど、三井末彦著「蹴鞠と自転車遊戯全書」などは、実に1900年に発行された本だ。明治時代の本である。
ラグビー、というキーワードの検索で引っかかったので、ラグビーに関するなんらかの記述がある本なのだろう。
しかし、これらの古い書籍は開架ではなく書庫に保存されており、閲覧したい場合は申請して取ってきてもらわないといけない。
私は大阪府民ではなく、図書館の利用カードも持っていないので、閉架の本を利用するにはまた別途手続きが必要になると思われる。
そこまでしている内に時間切れとなってしまいそうなので、今回は断念することにした。
大阪在住の人でラグビーに関する古書に興味があると言う方は、お時間がある時に府立図書館を一度訪問してみるのも良いかと思う。
追記:蹴鞠と自転車については、国会図書館のデジタルライブラリーで閲覧することが出来ました。